賃貸市場は本格的な繁忙期入りし
転勤・就職等でのお部屋探しや
春先での同棲・一人暮らしに向けた
アパート探しなどの様々なニーズに
慌ただしい日々を送っています。
そんな中、賃貸業界最大手の会社に
ある異変が起こっているという
情報をキャッチしました。
それは、【入居審査の厳格化】と
【属人性対応の追加】だそうです。
事の背景にはアパート契約者の
債務無視が多発し、看過できない
状況にまで悪化しているとの事でした。
小難しい単語を多用していますが
賃貸アパートで何が起こっているか?
これの説明と、日本に導入されつつある
信用スコアのお話しを交えて
今後の予測と合わせてご説明します。
日本賃貸住宅管理協会の調査
賃貸住宅市場景況感調査によると
2018年10月~2019年3月までの
家賃滞納率は全国平均で2.6%程
発生しているようです。
2.6%は【家賃1ヶ月の確定滞納】で
【残高不足】などの支払い忘れや
調整ミスを含めると6.5%もの
滞納率となるようです…
補足として、上記期間でのアンケート調査では
有効回答数242社(回収率19.2%)となり
予想数(1社辺りどれ位の戸数を管理しているか?)
としては恐らく充分なサンプル数だと思われますが
入居審査基準のバラつきが平準化したとしたら?を
勘案するには、サンプル数が不足している気がします。
更に【2ヶ月以上の滞納】は全体の
1.4%程発生しているとい衝撃の
データが公表されています。
分かりやすい数字で言うと…
・15人に1人が支払い忘れをし…
・40人に1人が家賃を滞納し…
・70人に1人は重滞納状態になる
という事になります。
お家賃入ってないですよ~って
一々入居者さんへ督促するのも
何気に手間(と、コスト)がかかるので
身の毛もよだつ数字です…
キチンとお支払いをして下さる方の方が
多いのですが、少数の(少数ではない)
ルーズな入居者が増加しつつあるのは
賃貸管理をしていると確かに感じます。
皆様がアパート見学をして
気に入るお部屋って、最低限でも
お掃除位はされていますよね?
特にお部屋の使用状況に不備や
ヒドイ使い方が無かった場合も
お部屋のクリーニング費用は
入居時or退去時に請求される物です。
契約書・重要事項説明でもお話します。
何なら、【重説時点で】掃除代の
説明を行うというのは不要なトラブルを
避ける為であり、通称・東京ルール
なんて呼ばれていたりもします。
事前通知が無い状況で訴訟まで発展した際は
消費者保護の判決(和解案)が出るとは
思っていますが、現時点での事前説明は
入居者へのサービスだと私は捉えています。
国交省ガイドラインでも事前説明を推奨していますので
今年の法改正に伴って明文化が義務になるとは思います。
…なのですが、事前説明を行った上で
入居者希望で退去時支払いにした
クリーニング費の未払い・請求無視が
多発しているそうです。。。
前述した賃貸業界最大手の管理会社では
普通に支払いを行って頂ける方々に
示しが付かないからと、4~6万円程の
クリーニング費の為に随時訴訟を行っている
といった世紀末な愚痴を伺いました。
当然、人件費も嵩みますし
支払を求めるお手紙の郵送代も
いきなり訴訟にはなりませんので
訴訟に至るまでの再送付作業や
いざ訴訟を起こす際の
弁護士費用などアレやコレも全て
余計な経費を計上して行っています。
これ以上の入居期間中の滞納リスクや
退去時の清算金未収リスクが頻発するなら
金銭面・人格面で怪しい…と感じる場合は
入居受入時に条件を付ける事や
入居拒否も検討しているそうです。
(というか一部実施してる?)
入居拒否の方が【審査の厳格化】で
多分、トラブルの多い職種・人種で
以前迄であれば入居OKだった人も
(行くとこまで行けば)一律NGに
するのだと思われます。
入居時に条件付けをする方が
【属人性対応の追加】でして
コレも、あくまで予想では有りますが
上記の様なトラブル多発系ではない
方々の年収・雇用形態・勤続年数などを
総合的に勘案し、例えば契約金請求時に
当月・次月・再来月の家賃を支払う様に
求めたり等で、当人の支払い能力を
推し量ったりするようになるかも?
といった内容のお話しでした…
支払能力を確認するのがそもそもの入居審査では?
私見としては、一部の振る舞いが
全体の足を引っ張り、首を絞めた
結果だと捉えています。
行く所まで行ってしまうと
築古物件で礼金の復活(一時金増加)や
個人信用情報チェック等の実施だったり
一度、トラブルを起こした人は
住む物件が無いとかあり得ると思います。
今、日本で【信用スコア】という
概念を導入する動きが有ります。
信用スコアとは、簡単に言うと
「貴方はコレくらい信用できる人」
という信用度の可視化(数値化)でして
この、【信用できる】というのは
【いくら迄ならお金を貸せる】
という事だと捉えれば良いと思います。
アメリカではクレジットカードでの
使用額や返済状況などを参考にするので
【クレジットスコア】と呼ばれます。
日本では、年齢・年収等の資産系以外に
趣味嗜好などのライフスタイル等も
信用スコアに反映されて、より総合的に
信用度を数値化するようです。
で、ここからが面白い(普通)の話で
【信用スコア】を運営・提携している
各企業では、信用の高い人には
よりお得なサービスを提供すると
発表(既に運用してますが)しています。
つまり、お金を多く支払える方の方が
同一サービスを割引きで利用できる。
現状の不動産賃貸市場では
高属性の(社会的信用度が高い)人は
公開された賃貸条件で契約する事が多く
入居条件の緩和や契約一時金のサービスは
それ以外の方に供される事が多いのですが
賃貸市場(入居判断)に信用スコアが
運用されるようになると、もしかしたら
高属性の人が好条件で賃貸契約が出来て
それ以外の方にはサービスがされない。
といった現状との逆転現象が起るかも
しれないという事ですね。
私個人の意見としましては
アパートを契約する位で、一々皆様の
与信調査を行う事も、スコアチェックに
時間を奪われる事も望んでいません。
ただ、貸主・借主双方の信頼が
このまま破綻して行くようであれば
きっと、いつかは不動産業にも
信用スコアという概念が導入されて
借り難い人が、より借り難く
借り易い人は更に借り易くなると思います。
先述しましたが、一部の人の振舞いが
格差社会を、更に推し進めるという事を
皆様にも御理解頂けますと幸甚です。